紙研について

ごあいさつ

 日本古来より培われてきた伝統美---書道。
 書道には、文房四宝と呼ばれる必要不可欠な素材があります。
  「筆・墨・硯・紙」
 書を効果的に魅せる墨の世界は、質感・色調・文様等により様々に変化していきます。
 紙研の料紙は、こうした独特な書の特性を理解し、常に研究・開発してまいりました。
 一般的な書道用紙とは異なる、より趣のある、芸術性の高い作品を演出することが出来る紙研の料紙をぜひ、ご覧ください。

料紙とは

 独特な技法で染料や顔料で色付けしたり、文様を刷り込んだり、金・銀の箔加工などの装飾を施した紙を料紙といいます。現在では文房四宝(筆、墨、硯、紙)の一つとして仮名の書道に使用されています。
 料紙の歴史は奈良朝の時代にまでさかのぼり、当時は色を染めただけの簡単な物が主でしたが、平安の後期には金銀で装飾された華やかな料紙も現れています。
 料紙に書かれている古い文献として有名なものに平家納経・寸松庵色紙・源氏物語絵巻などがあり、その美しさを1000年以上も保ちつづけています。

紙研について

 他の文芸界と同様に、戦後離散していた日本の書壇はめざましく復興してきました。中でも平安朝時代に全盛期を迎えた「かな書道」は(故)桑田笹舟先生をはじめとする書家、研究家の手により「現代かな書道」として、用紙である料紙も、原材料、加工法が再現され、まさに復興(ルネサンス)を遂げました。
 しかし、1枚1枚手づくりでしか制作できない料紙はあまりに高価で、また、その数もたいへん限られ、初歩の方が簡単に入手できる物ではありませんでした。平安王朝の貴族文化であった「かな書道」が「現代かな書道」として、そのすそ野を広げ一般に広まるためには、初歩の方でも購入が可能な安価で高品質な料紙が必要不可欠でした。
 そこで、1970年に(故)桑田笹舟先生(福山市名誉市民)の指導で佐藤照夫(当社創立者)らが、当時すでにカラー写真製版に着手していた高い印刷技術を応用して、初歩の方のための安価で高品質な料紙を作ろうと研究・開発して発足したのが始まりでした。今日、当社の製品に「平安料紙」と銘をうっている由来といえます。さらに研究・開発を進め、現在では平安朝の古法に則った特殊加工を再現することで独自の製法を確立し、オーダーメイドの最高級手づくり料紙も制作しています。
 当社は、日本で最初に平安料紙の製作・販売を企業化した会社で、他社製品とは一線を画した高品質な独自の製品を製作・販売しています。当社の製品は、全国100店舗以上の書道専門店、文房具店等でお取り扱いいただいております。

紙研の料紙の特色

 紙研の料紙は膠・胡粉などの特殊な加工を施し、墨色や書き味にこだわり制作した商品です。
 金加工は細い線が出やすいような加工を施し、銀加工は適度なかすれが出るよう加工を施しています。

桑田笹舟先生について

 戦後の日本かな書道界をリードし現代かな書の先駆けとなり、1951年に日展特選。1956年朝日新聞社主催「現代書道二十人展」に出品。1965年に兵庫県文化賞。1970年に日本芸術院賞受賞。1978年に勲四等旭日小綬章。1980年に東大寺華厳経奉納。1981年に紺綬褒章。1982年には東宮御所において皇太子妃(現在の皇后美智子様)に料紙について御進講されています。
 その他、日展理事・毎日書道展審査会員、一楽書芸院会頭、日本書芸院名誉顧問などを歴任し、今日の関西かな上位の基盤を作った一人です。「大字かな」運動の先駆者として書道隆盛の基礎を築きました。また古筆と料紙の探求に専念され、特に王朝の料紙を現代に再現する等、料紙研究家としても第一人者です。